映画『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』レビュー インパクトに対して小さくまとまった作品

おはようございます。

 

映画『アイアン・スカイ第三帝国の逆襲』を見たので感想を書いていこうと思います。ネタバレ多分に含みます。

前作は未視聴ですが、重要な点は作中で説明されて、特に気になる点はありませんでした。

 

前作、『アイアン・スカイ』で地球が核に汚染され、月に移住した一部の人類も崩壊が近づく基地で生活しているという状態で始まる今作。SF感あふれるな月面基地のデザインや、コメディチックながら終末を感じさせる雰囲気はなかなか素敵。

この基地シーンでもうわかることなのですが、この作品、案外グラフィック部分に気合入ってます。CG部分の出来がひどくて実写と合わせると浮いている、と感じることはありませんでした。低予算カルト映画だと思って見ていると少し驚きます。

 

物語の序盤、主人公は捕まえた前作のボスから、自分たちがヴリル族という宇宙人であること、空洞の地球の裏側には自分たちが作った第二の世界があり、そこには純粋で強大なエネルギーがあることを聞き出し、月から脱出するため、病気の母を治すため地球にエネルギーを求めて旅立ちます。

ここの設定はトンデモ要素ではありますが、オカルトを知っている人間から見れば無難な組み合わせだなーと思うところでもあります。地球空洞説、レプティリアンナチス、それぞれ繋がりを見つけられるもので、創作でも見かけることのある組み合わせなので、驚きはなかったです。

 

そしていよいよ地球での冒険が……と思ったところでしょうが、この作品に地球の裏側での冒険アクションは全くありません。数分で敵の本拠地にたどり着きます。地球の裏側では恐竜が使役されているのですが、恐竜との白熱のバトルシーンとかはないです。ここはかなりがっかりしました。なんなら他の要素はカットしてでも地球の探索に当ててもよかったと思うのですが。テーマがどこにあるのかがぶれているのはよくない。

 

クライマックス、ティラノに乗って攻めてくる総統という今作で一番顔にしたい部分もなんというか地味。来るのは総統閣下一人のみ。また、月面基地は建物が密集していて狭いため、窮屈に押し込められた感じでティラノの巨大感もなかったです。

 

エンディングは割と好きな感じですね。先は見えないけれど、今は希望がある、みたいな終わりは好きです。『ゾンビ』のラストのような。だから火星には実は……みたいなシーンは余計だったと感じました。

 

なんというか、バカバカしすぎもしない、まっとうに面白いとも言えない、微妙な立ち位置でした。見た目のインパクトに反してパンチが弱かった、そんな印象です。いまいちこのシーンを見せたい!というのがなくて、メリハリがないと言うか。

あまりオススメはしないですが、午後のロードショーとかでやってたら見るかなって感じの作品でした。