エースコンバット7 スカイズ・アンノウン レビュー 美しい空の先に待つものは。

というわけでエースコンバット7 スカイズ・アンノウンのレビューやっていきます。

発売からだいぶ時間は立ちましたが、最近ではセールに出るようになったり、25周年アップデートも行われたようなのでやるには向いている時期だと思います。

私はエースコンバットシリーズはPS2三部作プレイ済み。特にZEROが好きで、最高難易度であるACEもクリアしました。

エースコンバット7 スカイズ・アンノウン

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エースコンバット7 スカイズ・アンノウン(以下ACE7)はフライトアクションの金字塔エースコンバットシリーズの最新作です。フライトシミュレーターをゲーム的にアレンジしたシステムと重厚なストーリーで多くのファンが存在するこのシリーズ。今作でもその魅力は存分に発揮されています。

1.グラフィック

このゲームを起動してまず一番に感動するのはその圧倒的グラフィックでしょう。

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ゲーム後半のミッションの一場面。美しく広がる雲海。

思わず息を呑むような美しい映像。私がやっていたPS2時期の作品と比べるとその差は歴然です。空の描写が美しいことはもちろんのこと、大地においてもそれは発揮され、一つ一つの攻撃目標、建造物が細かく作り込まれています。

もちろん自分が操縦する、または相手とする機体においてもそれは発揮されています。

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最新鋭機F-35もじっくりと眺められるガレージ。

精密に再現された自分の好きな機体に乗り、この美しい空を思う存分飛ぶことができるというのは素晴らしく、特に様々な角度からこの映像を楽しめるリプレイ機能は伝統の機能ではあるものの、その体験は全く新しいものに進化しています。

2.ゲーム性

今作のゲーム部分には特徴的な2つの要素が存在します。それが天候システム無人機(UAV)です。

2-1天候システム

天候は今作で初めて取り入れられたシステムで、空戦に様々な影響を及ぼします。

特に目立つのは雲と雷でしょうか。雲は中に入ると視界を奪われるのが特徴的です。また、ロックオン性能が落ちたり、長く中にいると水滴が凍りつき運動性能が落ちていきます。うまく使えば相手のミサイルから逃れたりできるのですが、基本的にはプレイヤーを妨害する要素でしょう。あとは距離を詰めて攻撃するだけの相手に雲に入られてロックインを遮られるのはなかなか悔しいものがあります。複雑なマップで視界を遮る目的で存在する雲も評価が分かれるところですが、個人的にはスリルが増して意外と好きだったりします。

次に雷ですが、これは登場するミッションこそ少ないもののやっかいな要素です。被雷すると短い間操作不可能になり、その後もレーダーが乱れます。

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雷に当たるとレーダーが使えなくなる。

雷は突如落ちてくるので回避はかなり難しいうえ、その衝撃で地面に撃墜することも多く、自身の操作とは関係ないミスを多発させるため、かなり不快な要素です。

これらはうまく回避する技術を持つプレイヤーにはカタルシスを与えるものの、多くのプレイヤーには邪魔でしかない要素で、今作が高難易度だとの批判は天候システムによるものが大きいことは間違いないでしょう。

2-2無人

無人機の特徴としては機動が特殊なこと、大量に出現すること、かわりに耐久が低いことが挙げられます。

これも評価の分かれるポイントではありますが、個人的には面白い要素だと感じました。特に大量に射出される無人機の攻撃を避けながらのミッションは常にミサイルアラートが鳴り緊迫感を感じてプレイすることができました。うまく動くことができれば次々に撃ち落とせるので自分の腕に酔うことができます。

無人機もそうなのですが、今作は全体的に敵の数が多く配置されている気がします。そのため攻撃も激しくなるのですが、逆に体力は過去作より多くなっています。これはなかなかいいバランスのように感じました。より多くの敵と対峙したほうがスリリングです。

2-3ミッション構成

個人的に一番不満だったのはミッション構成です。とにかく空戦が少なく感じました。エースコンバットシリーズの魅力はやはり敵エースとの息もつかせぬ空戦だと思います。対地攻撃や曲芸飛行ももちろん楽しいのですが、一番したいのは大空での空戦なのです。

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海上の基地を攻撃する任務。今作はこういったミッションが多い。

とにかく制限のついたミッションが多すぎて、せっかくの美しい空を想うように飛ぶことができないのはもどかしいです。

3.ストーリー

3-1ストーリー

今作も魅力的なストーリーは健在です。無人機の存在感や、情報の重要性など現代戦らしい要素をうまく取り込んだ、今だからこそできたリアリティのあるストーリーです。

本編中で語られる事実は少ないものの、それはむしろ、なにが真実か、ひとつの出来事から何を見るか、といった作品のテーマに沿っており、それを見たプレイヤーに物語を託すという姿勢を感じました。

過去作と舞台を同じくすることで今までのプレイヤーには見知った設定、キャラクターなどが登場することもまた今作のストーリーの魅力です。”あの兵器”が味方になって再登場というのは過去作プレイヤーからするとあまりにも嬉しい展開でした。

しかし、それ単体でもストーリーが通じていた過去作と比べると、今作はストーリーを理解するために必要な情報がゲーム外に多すぎます。今作が初めてのプレイヤーには理解できないシーンが多いことでしょう。

3-2音楽

ストーリーを盛り上げる音楽は今作も素晴らしいものが揃っています。特にエースコンバットのボス曲らしさ満載、Archangeは印象的です。Daredevilという曲も一瞬の休止の後始まる、あのあまりにも美しい展開は、ゲームが最高潮を迎えている場面にふさわしい素晴らしい楽曲です。

4.総評

今作は間違いなく面白い作品です。圧倒的グラフィック、考察のしがいのあるストーリー、美しい音楽、そしてうまくミッションをクリアできた時の快感。

しかしながら、それらは従来のファンに向けられているような気がします。

大空に果てがないように、エースコンバットはいつまでも続くシリーズになって欲しい。そのためには新規のファンの獲得が不可欠です。

今作はまさに今までの集大成ではありますが、入門作としてはあまり適していない作品に感じてしまいました。

今作を理解するのに必要不可欠な過去作もPS2XBOX360と、現在プレイするには難しい状態にあります。今作は早期購入特典として過去作の移植が付きましたが、これをファンアイテムとして限定にするのではなく、いつでも購入できるようにするだけでもだいぶ違ったのではないでしょうか。

 

しかし、大空を自由に飛ぶ楽しさは新規だろうと今までのファンだろうと関係ありません。美しい空に興味を持った方はぜひプレイをおすすめします。空はだれにでも開かれています。

 

公式サイト:https://ace7.acecombat.jp/

ストアページ:https://store.steampowered.com/app/502500/ACE_COMBAT_7_SKIES_UNKNOWN/?l=japanese